日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P11
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一般演題 ポスター
アセトアミノフェン投与によるカニクイザル肝臓におけるmicroRNAの発現解析
*伊勢 良太福島 民雄瀧 憲二堀井 郁夫吉田 武美
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抄録
microRNA(miRNA)は21塩基前後の短い2本鎖RNAで,主にmRNAの非翻訳翻訳域に結合して翻訳を抑制するRNAの一種である。そ の制御は,個体発生,細胞分化および疾患等に関連することが知られているが,最近,毒性機序への関与も示唆されている。げっ歯類 においては,アセトアミノフェン(APAP)投与後に生じる肝毒性に関して複数のmiRNAの挙動が報告されており,毒性作用機序の一因 として注目されている。一方,霊長目マカク属であるカニクイザルは,実験動物として前臨床試験に用いられているが,毒性に関与す るmiRNAの報告は未だされていない。また,げっ歯類やヒトと比べ,カニクイザルのmiRNAを網羅的に解析するツールは存在しない のが現状である。そこで,我々はマカク属のmiRNAを搭載したマイクロアレイを作製し,APAP投与後のカニクイザル肝臓で変動する miRNAによる毒性への関与を以下の方法で検討した。まず,カニクイザルmiRNAを解析するツールを開発するため,カニクイザルと 同じマカク属であるアカゲザルにて公開されているmiRNA配列情報をmiRBaseから入手し,それをベースにマイクロアレイを作製し た。次に4~5歳の雄カニクイザルにAPAP(600mg/kg)を単回静脈内投与し,24時間後のmiRNA発現プロファイルをマイクロアレイ で解析した後,上昇または抑制したmiRNAを選定した。なお,肝臓は投与1ヶ月前と投与24時間後に肝生検にて採取し,miRNAの発 現変動は同一個体間での比較とした。本発表では,APAP投与で特異的に変動したカニクイザルmiRNAを中心に,げっ歯類との類似及 び差異,変動遺伝子にて報告されている機能から推測されるカニクイザル肝臓への影響を報告する。
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© 2010 日本毒性学会
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