日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P131
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一般演題 ポスター
血液適合性試験における標準的方法の確立
*犬飼 香織新藤 智子木村 順治小島 幸一
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キーワード: 血液, 血液適合性, ISO 10993
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抄録
【目的】
 ISO 10993-4 Selection of tests for interaction with bloodは医療機器の血液適合性試験を規定した国際的汎用ガイドラインであ り,評価すべき血液適合性のカテゴリーを5つに分類している。その中で凝固・血小板・補体系の3カテゴリーでは,列記されている評 価指標の選定を含め標準的な試験方法が定まっていない。そこで我々は,相互に作用する3カテゴリーの反応系の変化を同一試験管内 で評価するために適した評価指標の選定と試験方法の設定を試みた。
【結果及び考察】
 ヒト全血を用いた静的条件下での実験系において,3カテゴリーの評価指標に共通の陰性対照物質として塩化ビニル樹脂製の血液分 離バッグが,陽性対照物質として陰イオン交換セルロースペーパーDE81が使用可能であることを確認した。また,血液とのインキュ ベーションに用いる容器には,生体適合性にすぐれるPTFE製チューブ,汎用性の高いポリプロピレン製チューブおよびポリスチレン 製チューブはいずれも,血液の活性化に及ぼす影響が少なく,使用可能であった。抗凝固剤としてヘパリンナトリウム(3~5 IU/mL) を加えた血液を用いて,1~4時間の接触時間で評価可能であった。
 この方法で,凝固にはThrombin-antithrombin complexが,血小板にはBeta-thromboglobulinが,補体系には補体系活性化時の産 生物質であるC3aおよびSC5b-9が指標として適していると考えられた。この試験方法は,簡便で汎用性があり,医療機器の血液適合 性評価を実施する上で,標準的な試験方法になり得る。今後,妥当性を確認するために,この方法で医療用材料あるいは医療機器のデー タを蓄積していく予定である。
 本研究は(財)食品薬品安全センターとの共同研究として実施した。
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© 2010 日本毒性学会
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