日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P136
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一般演題 ポスター
ハイコンテントスクリーニングを用いた薬剤性肝障害リスク評価
*根木 真一笈田 浩次藤ヶ谷 浩文小西 幹夫阿瀬 善也七野 裕
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抄録
【背景】薬剤性肝障害は,実験動物での予測が困難なことが多く,医薬品開発の妨げとなっている。臨床での肝障害リスクを予測するた め,様々な手法が試みられており,近年ではミトコンドリア毒性に着目した手法が注目されている。そこで,ミトコンドリア機能障 害を中心とした肝細胞毒性を網羅的に検出できるハイコンテントスクリーニングの手法を用いて,肝障害リスク評価系の構築を試み た。【方法】ヒト肝細胞を用いて,ミトコンドリア膜電位変化を伴う膨化反応(MitoTracker Orange CM-H2TMRosを用いた蛍光強度, ミトコンドリア面積及び数を指標),細胞の核形態変化(Hoechst33342を用いた蛍光強度及び面積を指標)及び細胞膜透過性亢進作用 (TOTO-3を用いた蛍光強度を指標)に対する化合物の影響を画像解析により評価した。評価には,臨床での肝障害高リスク若しくは低 リスク化合物(計110化合物)を用いて検討した。【結果及び考察】肝障害高リスク化合物(88化合物)においては70化合物,肝障害低リ スク化合物(22化合物)においては8化合物が上記指標に影響が認められた。すなわち,本評価系の肝障害リスク検出感度は80%,特異 性は64%であった。また,肝障害高リスク化合物の内,68%の化合物においてミトコンドリアへの影響が確認された。以上より,ミ トコンドリアを中心とした細胞障害性を網羅的に評価できる本評価系は,肝障害リスク低減のために有用と考えられる。
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© 2010 日本毒性学会
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