日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P152
会議情報

一般演題 ポスター
抗精神病薬による錐体外路系副作用:新規抗精神病薬blonanserinの評価
*岡野 元紀清水 佐紀今木 淳太多田羅 絢加奥村 貴裕河合 悦子大野 行弘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】Blonanserinは,ドパミンD2および5-HT2A受容体に対し高い結合親和性を有する新たな抗精神病薬である。今回,blonanserin の錐体外路系副作用を評価する目的で,マウスにおける錐体外路系運動障害(カタレプシーおよびブラジキネジア)誘発作用ならびに脳 内Fos蛋白発現作用を評価し,haloperidolの作用と比較した。
【方法】実験にはddY系雄性マウスを用い,blonanserin(0.3-10mg/kg)あるいはhaloperido(l 0.3-3mg/kg)の経口投与30分後にお ける錐体外路系運動障害を,catalepsy-testあるいはpole-testにより評価した。脳内Fos発現の評価では,blonanserinあるいは haloperidolの投与120分後に脳を摘出し,前脳部(大脳皮質,側坐核,線条体および外側中隔)におけるFos蛋白の発現をABC法によ り免疫染色し,各部位でのFos免疫陽性細胞数を計測した。
【結果および考察】Haloperidolは1mg/kg以上の用量でカタレプシーおよびブラジキネジアを誘発したが,blonanserinはいずれの投与 量においても有意な作用を示さなかった。一方,blonanserinおよびhaloperidolは,いずれも側坐核シェルおよびコア領域,背外側線 条体におけるFos発現を顕著に増加させた。この際,blonanserinのFos発現作用は,錐体外路系副作用の発現に関連する線条体に比べ, 主作用部位と考えられている側坐核シェル領域においてより強力であった。これに対して,定型抗精神病薬のhaloperidolは線条体で より顕著なFos発現作用を示し,その副作用部位への作用選択性が高いことが示された。以上の結果から,blonanserinが錐体外路系 副作用の弱い非定型抗精神病薬としての薬理学的特性を有することが確認された。
著者関連情報
© 2010 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top