抄録
医薬品の開発においてはバイオマーカーを利用する機会が多く、安全性指標としてのバイオマーカーは開発初期において特に重要である。古くから広い意味での生理学的バイオマーカーが利用されてきたが、近年、分子生物学的技術の発達とNIHの研究グループから公表されたバイオマーカーの定義(1998年)により、その扱いが大きく変わった。
総合機構(PMDA)では、医薬品におけるゲノム薬理学、バイオマーカーの利用に関する一般的な考え方、個別品目の評価とは関係しないデータの評価や解釈について、指導及び助言を行う相談区分を設け、2009年4月からファーマコゲノミクス・バイオマーカー相談を実施している。今回のシンポジウムでは、安全性予測試験コンソーシアム(Predictive Safety Testing Consortium: PSTC)からPMDAに申し込まれた薬剤誘発性急性腎障害の新規バイオマーカーに係るファーマコゲノミクス・バイオマーカー相談の内容及びその評価について紹介する。また、実際に臨床で利用されているいくつかのバイオマーカーについて、非臨床試験との関連性について検討した結果を報告する予定である。