日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: S3-1
会議情報

In vitro 毒性試験法
レポーター遺伝子アッセイの開発とその利用
*武吉 正博
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
レポーター遺伝子アッセイは分子生物学領域において遺伝子の転写制御メカニズムの解析の目的で広く用いられてきた手法である。近年では内分泌攪乱物質問題とともに、ホルモン活性を有する化学物質のスクリーニング手法として注目され、我が国ではエストロゲン受容体やアンドロゲン受容体を介するアゴニスト/アンタゴニスト作用検出系の開発、検証が精力的に進められ、その一部は既にOECDガイドラインとして登録されるに至っている。内分泌かく乱化学物質の重要な作用点はステロイドホルモン受容体や甲状腺ホルモン受容体などの核内受容体を介したシグナル伝達への影響であり、遺伝子の発現調節の解析手段として繁用されているレポーター遺伝子アッセイの手法は核内受容体を介したシグナル伝達のかく乱の検出手段に応用することが可能であり、大量の化学物質のホルモン様活性の強度を効率的に推定し、上位試験実施のための優先順位付けなどに利用することが出来る。本邦で開発されOECDガイドラインとなったTG455はエストロゲン応答配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結したコンストラクトとヒトエストロゲンレセプター発現コンストラクトを安定的に組み込んだHeLa細胞を用いる方法であり、エストロゲン受容体アゴニスト及びアンタゴニストの検出が可能である。また、AR EcoScreen細胞を用いたアンドロゲンアゴニスト/アンタゴニスト検出系も現在、OECDガイドライン化に向けたバリデーションが実施されている。更に、変異型lox配列とCre酵素による組換え反応を利用して、トランスジーンをゲノム上の決まった位置に挿入することにより効率的にレポーター遺伝子アッセイ用の安定形質細胞を構築する方法を紹介する。
著者関連情報
© 2011 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top