日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: S3-2
会議情報

In vitro 毒性試験法
化学物質評価用発光細胞の標準化
*近江谷 克裕
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
動物実験禁止という世界的な流れの中、化学物質の有害性を評価する代替法として、発光培養細胞技術の開発が進められている。特にNEDOプロジェクト「高機能簡易型有害性評価手法の開発 / 培養細胞を用いた有害性評価手法の開発」において、複数の遺伝子発現を同時に評価できるマルチレポータアッセイ技術を導入した化学物質評価発光細胞の開発が進められた。従来、ルシフェラーゼレポータアッセイは1乃至2の基質に対するルシフェラーゼレポータ遺伝子ベクターを作製、評価細胞に導入し、個々の発光の強さにより有害性を評価した。しかしマルチレポータアッセイ技術は甲虫ルシフェリン1つに対し、異なる発光色の甲虫ルシフェラーゼ遺伝子を用いることで、発光色の違いによって複数の遺伝子発現を同時に評価できる方法である。これによって、例えば、免疫毒性評価細胞Jurkat細胞ではG3PDH(赤色)を内部コントロールにIL-2(緑色)とIFNγ(橙色)の遺伝子発現量の変化を解析でき、発光色の変化のアルゴリズムを解析することによって化学物質の毒性の質と量を、ハイスループットに評価できることになった。しかしながら、このような新規の化学物質の有害性を評価できるシステムがその普及・促進にあたり、有害性評価結果の信頼性を保証する仕組みの導入が不可避である。我々は誰が、どこで、いつ、評価発光細胞を用いても同じ結果を出すために、国際的な標準化の推進が必要と考えている。そこで我々は標準化に必要な要素として、評価細胞の維持管理、プロトコールの妥当性や測定の信頼性の確保などを重視、国際標準化事業を開始した。特に、異なるメーカーの測定装置でも如何に光を測定し信頼度を確保するのかを重要なポイントとした。本特別企画では、我々が開発した化学物質評価用発光細胞のポテンシャルとその標準化のストラテジーについて現状報告する。
著者関連情報
© 2011 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top