日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-83
会議情報

一般演題 ポスター
Patched1ヘテロノックアウトマウスの小脳の発達及び髄芽腫発生プロセスに関する検索
*松尾 沙織里 高橋 美和井上 薫森川 朋美入江 かをる林 清吾小川 久美子吉田 緑
著者情報
キーワード: Patched1, 髄芽腫, 小脳発達
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【背景】Patched1はヒト髄芽腫に関わる遺伝子であり、このヘテロノックアウトマウス(Ptchマウス)においてもヒトと類似した髄芽腫が好発する。髄芽腫は小脳発達期に内顆粒層に移動せず取り残された外顆粒層(EGL)細胞に由来すると考えられているが、Ptchマウスの小脳発達や髄芽腫発生プロセス及び発がん過程における化学物質等の関与の詳細は不明である。そこで我々は髄芽腫形成の初期変化を捉えるために、基礎検討として本マウスの発達期の小脳を検索した。【方法】8日齢のWild及びPtchマウスに5-Bromo-2’-deoxyuridine(BrdU)100 mg/kgを単回腹腔内投与した。投与1時間半、2、4、6、8、10、13日後に剖検し、小脳のHE染色、BrdU抗体及びKi-67抗体による免疫組織化学染色を行った。【結果及び考察】PtchマウスではEGLが厚い傾向を示したが、Wildと同様に日齢が進むにつれ薄くなり、21日齢までにほぼ消失した。Wild及びPtchマウス共にEGLのouter layerにKi-67陽性細胞が認められ、同部位は投与1時間半後にBrdUにも陽性を示した。BrdU陽性細胞は2日後にはEGLのinner layer、分子層、内顆粒層に、それ以降は多くが内顆粒層に、一部は分子層に認められ、EGL細胞の移動のプロセスについてWildマウスとの間に大きな違いは認められなかった。Wildとは異なる点として、Ptchマウスでは10日齢以降にBrdUに弱陽性を示すEGL類似細胞のび漫性の増殖巣や、EGLと連続した髄芽腫が認められ、これらの病変がEGL細胞に由来することが示唆された。16日齢以降、PtchマウスではEGL類似細胞の小結節状の集簇巣が多数観察され、Ki-67陽性巣と陰性巣の2つのタイプが認められた。この集簇巣とEGLとの関連性については現在検討中である。
著者関連情報
© 2011 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top