日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-190
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一般演題 ポスター
rasH2マウスの短期(26週間)がん原性試験における背景データについて
*増渕 康哲山口 裕子黒岩 有一岡崎 和志田村 一利岡崎 修三
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キーワード: rasH2, 短期がん原性試験
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抄録
rasH2マウスなどの遺伝子改変動物を用いた短期(26週間)がん原性試験は、長期がん原性試験の代替モデルとして期待されている。なかでもrasH2マウスを用いたモデルは有力な候補であるが、今のところ日本国内での普及は限定されている。がん原性試験において、被験物質のがん原性を適切に評価するためには、施設ごとに使用動物の自然発生性腫瘍の背景データを充分得ておくことが重要である。今回、我々の施設としては初めてrasH2マウスの自然発生性腫瘍を含む背景データを収集したので報告する。 「方法」8週齢のrasH2マウス雌雄各50匹に媒体(0.5 w/v%メチルセルロース溶液)を26週間投与し、一般状態、触診による腫瘤の観察、体重、摂餌量、血液・血液化学検査、骨髄像検査、肝薬物代謝酵素活性の測定、剖検、器官重量及び病理組織学検査を実施した。また、発がん陽性対照群として雌雄各15匹のN-Methyl-N-nitrosourea(MNU)群を設け、75 mg/kgの投与量で単回腹腔内投与した。 「結果」投与26週間後の生存率は、雄47/50例(生存率:94%)、雌46/50例(生存率:96%)であり、雌雄各1例で腫瘍性病変に起因すると思われる死亡がみられた。また、体重、摂餌量、血液・血液化学データは公表されている文献と大きな差はなかった。MNU群では、10あるいは12/15例/性がリンパ腫等の腫瘍性病変で死亡し、本試験系における発がん感受性に問題なかった。現在検索中の病理組織学検査結果を含め、その成績を報告する。
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© 2011 日本毒性学会
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