2021 年 77 巻 1 号 p. 136-142
令和2年7月豪雨では,熊本県の球磨川流域において17橋が流失した.本研究では橋桁が流失した人吉市の西瀬橋を対象とし,上流で観測された水位データを基にした一次元河床変動解析から,洪水時に橋桁へ作用した流体力を計算した.流体力には橋の支承のみで抵抗するものと仮定した.数値解析結果より,建設当時の設計基準である1956年示方書から求めた支承の推定水平強度を上回る抗力が作用したものと推定された.その最大抗力値は2017年示方書で規定される支承強度よりは小さかった.また,トラス断面が流木等で完全に閉塞されたと仮定した場合,最大抗力は閉塞されなかった場合の約2倍になった.