抄録
【目的】タール系食用色素である食用青色1号について行動発達毒性試験を行い、マウスの次世代の行動発達に及ぼす影響の有無について検討する。
【方法】食用青色1号を混餌法によりCD1マウスに0(対照群)、0.08%、0.24%、0.72%となるように調製してマウスのF0世代の5週齢からF1世代の12週齢までの2世代にわたって投与して、マウスの行動発達に及ぼす影響について検討した。
【結果】F0世代の探査行動では、雌の移動時間が用量依存的に増加し、雌の平均立ち上がり時間が用量依存的に減少する傾向が見られた。また、授乳期間中の行動発達では雌雄の仔マウスの4日齢時正向反射が用量依存的に抑制された。F1世代の探査行動については、雄成体マウスの総移動距離・平均移動速度・立ち上がり回数が0.08%群で増加する傾向が見られた。さらに、雌成体マウスの水平移動回数が用量依存的に減少傾向が見られた。F1世代の離乳後の体重増加は、雌マウスの10・11週齢において用量依存的に抑制された。
【まとめ】本実験において食用青色1号の継代投与により、次世代マウスの行動発達に対していくつかの影響が観察された。本実験で用いられた食用青色1号の用量はADI値 (12.5 mg/kg/day) を基に算出された(0.72%がADI値の約100倍相当)ものであるが、実際の人の摂取量 (0.28−0.56 μg/kg/day) はADI値に比べ著しく少ないので現実的な食用青色1号の摂取量では人に対して影響を及ぼさないものと思われる。