日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-139
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金属塩の細胞毒性に及ぼすナノマテリアルの影響
*伊佐間 和郎河上 強志酒井 恵子宮島 敦子松岡 厚子
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抄録
【目的】ナノマテリアルは産業界においてすでに様々な用途に使用されているものの、ナノマテリアルの安全性はまだ十分には解明されていない。近年、in vitroにおけるナノマテリアル単独での毒性は徐々に明らかになりつつあるが、他の化学物質との相互作用は不明である。そこで、本研究では共存する金属塩の細胞毒性に及ぼすナノマテリアルの影響を調査した。
【実験方法】二酸化ケイ素(SiO2)及び二酸化チタン(TiO2)のナノ粒子を使用した。また、金属塩として、塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化銅(II)(CuCl2)及び塩化亜鉛(ZnCl2)を使用した。ナノ粒子の粒度分布及びゼータ電位は、動的光散乱光度計により測定した。ナノ粒子非共存下及び共存下におけるAlCl3、CuCl2及びZnCl2の細胞毒性は、チャイニーズハムスターV79肺線維芽細胞を用いたコロニー形成法により評価した。
【結果及び考察】ナノ粒子の単独暴露条件で、100 µg/ml以下の濃度のSiO2ナノ粒子は細胞毒性を示さなかったが、25 µg/ml以上の濃度のTiO2ナノ粒子は弱い細胞毒性を示した。そこで、100 µg/mlの濃度のSiO2ナノ粒子並びに10 µg/ml及び100 µg/mlの濃度のTiO2ナノ粒子の共存による、AlCl3、CuCl2及びZnCl2の細胞毒性の変化を調べた。その結果、100 µg/mlの濃度のSiO2ナノ粒子共存下では、ZnCl2の細胞毒性は変化しなかったが、AlCl3及びCuCl2の細胞毒性は増強した。一方、10 µg/ml及び100 µg/mlの濃度のTiO2ナノ粒子共存下では、3種の金属塩の細胞毒性は変化しなかった。これらのことから、SiO2ナノ粒子は共存する一部の金属塩の細胞毒性を増強させることが分かった。
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© 2012 日本毒性学会
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