日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-171
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化審法変異原性リスク評価のためのin vivo小核試験データの要求優先度
*森田 健常見 知広林 真
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抄録
2011年4月施行の改正化審法では、選定された優先評価化学物質についてリスク評価を行い、必要に応じ第二種特定化学物質に指定することとなった。優先評価化学物質の変異原性リスク評価では、in vitro試験が陽性の場合、in vivo試験データが必要と考えられる。化審法ではin vivo試験は求められておらず、リスク評価の過程で別途そのデータを要求する必要がある。しかし、in vivo試験を求めるケースとその種類について一般的な合意は得られていない。そこで、in vitro染色体異常試験(CA)が陽性の場合にin vivo小核試験(MN)データを求めるための優先順位付けについて検討した。化審法既存化学物質毒性データベースに収載されている277物質(2012年1月現在、http://dra4.nihs.go.jp/mhlw_data/jsp/SearchPage.jsp)の調査では、CA陽性かつAmes試験およびMNデータが入手可能なものは66物質であった。その66物質について、CAでの最小有効濃度(LEC)ならびに各試験結果を比較した。その結果、LECにかかわらずAmes陽性物質がMN陽性を示す傾向、ならびに低いLECを示すものがAmes陰性であってもMN陽性となる傾向が判明した。LEC基準値として① 0.05 mg/mL以下、②0.05超0.5 mg/mL以下、③0.5 mg/mL超を設定したところ、MN陽性物質数(内、Ames陰性物質数)およびAmes陽性物質数は、それぞれ①では19物質中8(3)、6、②では21物質中1(0)、4、③では26物質中3(1、ただしこのMN陽性はMN誘発性代謝物生成に基づく推定)、7であった。これらの結果から、①、②、③の優先度をそれぞれ高、中、低とし、かつAmes陽性物質の優先度を高としてMNデータを求めるのがリスクコミュニケーシュンにおいて効果的と考えられた。
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© 2012 日本毒性学会
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