抄録
改訂ICH遺伝毒性ガイドラインでは、反復投与毒性試験の中に遺伝毒性評価を組み入れることも可能となる。そこで、本検討では複数の遺伝毒性評価を組み入れた反復投与毒性試験を実施した。6週齢のCrl:CD(SD)雄性ラットに既知遺伝毒性物質である4,4’-Methylenedianiline(MDA)の2週間反復経口投与を行い、最終投与の翌日に骨髄細胞での小核評価に加えて肝臓での小核評価及び末梢血でのPig-a遺伝子突然変異頻度の変動を調べた。本試験結果より、骨髄に加えて肝臓においても小核出現頻度の増加が認められた。さらに、高用量では末梢血においてPig-a遺伝子突然変異の増加が認められ、肝臓を用いた小核評価及び末梢血を用いたPig-a遺伝子突然変異は、反復投与毒性試験での評価が可能であった。また、骨髄細胞と比較し肝臓を用いた小核試験では、それぞれの媒体対照群に対する小核出現頻度の変動比が高く、代謝物の曝露量の違いによるものだと推測された。本演題ではその他の毒性評価項目についても報告する。なお、本研究はMMSの共同研究の一環として行われたものである。