日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-187
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摂餌・体重の変動がイヌの心電図・血液パラメータに及ぼす影響
*守田 淳哉和泉 智子須之内 真奈堤 俊輔大野 理絵有馬 和範佐藤 靖
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抄録

【目的】ラットでは摂餌・体重減少が毒性試験パラメータに及ぼす影響についての報告はあるが、イヌではほとんどない。そこで本研究では、イヌにおいて制限給餌により体重を減少させたときの心電図及び血液への影響について検討した。また、給餌制限を解除し、体重を回復させたときの各パラメータの回復性についても検討した。
【方法】雄性イヌ(ビーグル、n=5/群)を用いた。制限給餌群には、制限給餌期間の1~8週は150 g/日、9~12週は200 g/日、4週間の回復期間は300 g/日を給餌した。対照群には、制限給餌期間及び回復期間ともに300 g/日を給餌した。一般状態、体重、摂餌量、標準肢誘導及びホルター心電図の測定、並びに血液学及び血液生化学的検査を実施し、対照群及び制限給餌群の2群間比較を行った。また、制限給餌群は、体重の変化率と各パラメータの相関について評価した。
【結果及び考察】制限給餌群において、体重は制限給餌開始前に対し約17%減少し、対照群に比較し約18%低値を示した。心電図検査では循環血液量の減少の影響と思われる心拍数の減少、血液学的検査では低栄養の影響と思われる白血球パラメータの減少が認められた。また、体重減少と上記パラメータとの間には相関関係が認められた。制限給餌期間に認められた変化は、回復期間には体重のみならず、上記パラメータの回復性が確認された。
【結論】イヌで継続的な摂餌量減少に起因した体重減少がみられる場合、心電図及び血液(心拍数、白血球低値)に影響を及ぼすことが示唆された。イヌの毒性試験では、化合物投与により継続的な摂餌・体重減少が認められることがある。本結果は、毒性試験パラメータの変動が化合物の直接作用か、二次的作用によるものかを判断する上で有用な情報になると考えられた。

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© 2012 日本毒性学会
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