抄録
【目的】医薬品のヒトにおけるアレルゲン性(感作性)を予測することは,その開発および安全性確保の観点から重要なことであるが,非臨床試験では必ずしも予測することができず,未だ確立された試験法は無い.一方,アレルギー性の接触皮膚炎に対する評価系としては,ヒト単球様培養細胞THP-1を用いた human Cell Line Activation Test (h-CLAT)の有用性が認められ,in vitro皮膚感作性試験法として確立されつつある.そこで我々は,外用剤だけでなく全身投与用医薬品のアレルゲン性を評価する系として,h-CLATの検討を行った.
【方法】アレルギー性副作用報告のある医薬品17物質に対して,定法に従ってh-CLATを実施し,アレルゲン性の評価を行った.
【結果・考察】試験を試みた医薬品17物質のうちh-CLATのアッセイ要件を満たしたものは11物質(ampicillin sodium,D-penicillamine,ticlopidine hydrochloride,cephalothin sodium,diclofenac sodium,levofloxacin hydrochloride,gefitinib,albendazole,amiodarone hydrochloride,carbamazepine,pravastatin sodium)であり,これらはいずれも陽性判定となった.他の6物質(いずれも脂溶性物質)については,最大溶解濃度になるよう被験物質を培地に加えても細胞生存率が十分に低下せず,アッセイ要件の一つであるCV75(被験物質の暴露による75%の細胞生存率)を満たすことができなかった.CV75を得られる条件の検討が今後の課題であり,発表時にはこの点に加え,h-CLAT の医薬品アレルゲン性評価に関する有用性についても考察する.