日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-217
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Long-Evansラットを用いたLomefloxacin,SparfloxacinおよびPirfenidoneの薬剤性光線過敏症リスクの評価 -組織移行性の検討-
*三輪 恵子足立 民子佐藤 優子佐藤 寛子竹川 晃司杉山 明男
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抄録
創薬の過程において薬剤性光線過敏症のリスク評価が重要になっている.今回,ヒトで光線過敏症が報告されているLomefloxacin(LMFX,50,100,200 mg/kg),Sparfloxacin(SPFX,50,100,200 mg/kg)およびPirfenidone(PFD,160,320,750 mg/kg)をLong-Evans(LE)ラット(雌)に単回投与し,各化合物のTmaxに近い時点で背部皮膚および眼にUVAを30分間照射(10J/cm2)して4日後まで観察するとともに,血漿,眼球および背部皮膚中濃度をLC/MS/MS法で測定し,全身曝露量及び組織移行性の評価を実施した.その結果,上記3化合物ともにいずれも投与量に依存したの紅斑・水腫などが認められ,LOAELにおける光照射時の血漿中濃度はLMFXで13.5μg/mL,SPFXで4.46μg/mL,PFDで167μg/mLだった.このとき皮膚のKp値(光照射時の皮膚中濃度/血漿中濃度)はLMFX(1.2~3.2)≒SPFX(2.1~2.3)>PFD(0.6~0.8)とLMFXおよびSPFXでは血漿中濃度と同等以上の高い皮膚移行性を示したが,PFDではやや低値だった.一方,水晶体については全ての化合物で毒性変化を認めず,またKp値はPFD(0.6~0.7)>SPFX(0.2~0.3)>LMFX(0.1~0.2)とPFDを除き組織への移行性は皮膚と比較して低値を示した.以上,モデル化合物を使用したin vivo光毒性試験に伴う組織移行性の検討結果から,組織移行性(Kp値)が比較的高い薬剤及び標的組織で光照射による組織毒性反応が惹起されたことを確認した.本試験系は,ヒトの光毒性リスクを評価するための有用な方法であると考えられた.
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© 2012 日本毒性学会
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