日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-221
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新規食餌性肥満モデル検討用飼料によるラットの生体機能に及ぼす影響 -3系統での比較
*横谷 亮野崎 裕美奥村 佳奈子中山 拓生石川 典子平田 真理子木口 雅夫溝口 定之百瀬 清一堀本 政夫松浦 正男
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抄録

【目的】近年、抗肥満作用を有する医薬品や機能性食品の開発が盛んに行われるようになり、実験動物を用いた抗肥満作用評価のニーズが高まっている。そこで我々は、アシドーシス、脂肪肝および内臓脂肪増加を誘発する飼料Aをラットに摂取させ、ヒトの肥満状態により近い食餌性肥満動物モデルの作出を最終目標として、種々の検討を行っている。今回は、この飼料Aによるラットの系統間への影響について比較検討を行った。
【方法】5週齢のCrlj:WI、Crl:CD(SD)、Slc:SDの3系統の雄ラットを用いて、1群6匹に飼料として通常食(CRF-1)または飼料Aを28日間自由に摂取させ、体重および摂餌量を定期的に測定した。摂餌28日翌日に剖検し、主要臓器重量測定、血液化学的検査、病理組織学的検査を行った。各系統の試験実施時期は異なっていることから、系統間の比較に際しては、各系統の飼料A群の値をそれぞれの系統の通常食群の値で除した数値を指標とした。また、他施設で実験されたSlc:SDのデータについても併せて比較した。
【結果・考察】通常食群と比較して、飼料A群ではどの系統でも体重、肝臓、内臓脂肪重量の増加、脂肪肝ならびにLDL/HDL値の上昇などがみられた。また、Slc:SDでも同様な結果が得られ施設間の差はみられなかった。これらの結果を元に、飼料Aの影響を系統間で比較したところ、体重、摂餌量、肝臓重量、内臓脂肪重量、血中脂質、AST、ALT、ALPに系統差がみられ、特にCrl:CD(SD)の肥満化の程度は他の系統に比べ弱いと考えられた。飼料Aによる肥満化の程度に系統差が生じた要因として、摂餌量や血中脂質などで系統差がみられたことから、餌の嗜好性、肝臓での脂質・エネルギー代謝などの複合要因による影響が考えられた。以上より、本飼料による肥満の程度に系統差がみられたことから、本飼料のような栄養組成による食餌性肥満動物モデルの作出に際しては系統での比較検討も重要であることが示唆された。

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© 2012 日本毒性学会
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