日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-244
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複数の代替法を段階的に組合せた眼性激性評価体系
*安保 孝幸大島 健一額田 祐子林 卓巳荒木 大作坂口 斉西山 直宏
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抄録
眼刺激性の評価において、ウサギを用いたDraize試験を一つの代替法のみで完全代替するのは困難であり、複数の代替法を段階的に組合せた評価体系が有用であると考えられる。今回の検討では眼刺激性におけるGHS区分(区分外、Category 2、Category 1)を行うため、ウサギ角膜由来株化細胞SIRCを用いるShort Time Exposure(STE)試験、3次元培養モデルを用いるEpiOcular™ 試験、そしてウシ摘出角膜を用いるBCOP試験を段階的に組合せた評価体系の構築を検討した。
評価物質は一般化学物質から化学的分類、及びGHS区分を考慮し、125物質を選択した。STE試験は、評価物質の5%溶液をSIRC細胞に5分間暴露した際の細胞生存率を指標に、EpiOcular™ 試験は未希釈の評価物質を暴露した際の細胞生存率を指標に非刺激物と刺激物を区分した。一方、BCOP試験はウシ摘出角膜に評価物質を暴露し、角膜の混濁度と透過度をスコア化してGHS Category 1を区分した。
初めに、STE試験溶媒に可溶の評価物質はSTE試験を、不溶の評価物質およびSTE試験の適用限界物質である固体の塩類、アルコール、炭化水素、そして高揮発性物質(飽和蒸気圧>6000Pa(25℃))はEpiOcular™ 試験を実施し、非刺激物と判定された場合にGHS区分外と判別した。次に、刺激物と判定された評価物質に関してBCOP試験を実施し、Severeと判定された評価物質をGHS Category 1、Non-severeと判定された評価物質をGHS Category 2と判別した。その結果、125物質におけるGHS区分の予測性は72.0%、過小評価率は9.6%となった。以上、これらの3つの試験法を段階的に組合せた評価体系は、様々な化学物質の眼刺激性におけるGHSを区分するための有望な手法と考えられた。
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© 2012 日本毒性学会
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