日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-31
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Probucolのin vivoにおけるQT間隔延長作用 -心表面心電図誘導を用いた高精度解析によるQT間隔評価-
*野川 央河合 智之三浦 正弘
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抄録
【目的】薬剤誘発性QT延長のメカニズムとしてhERGチャネルタンパク質の細胞膜内輸送(hERG Trafficking)阻害作用の関与が指摘されている。このhERG Trafficking阻害作用は再分極予備力の低下にも関与し、QT延長や不整脈の誘発を促進させると推察されるが、hERG Trafficking阻害作用のin vivoに関する情報は少なく、hERGチャネル直接阻害作用を示す薬剤との併用についてもほとんど報告されていない。本研究では、in vitroにおいてhERGチャネル直接阻害作用は示さないがhERG Trafficking阻害作用を有することが報告されているProbucolのin vivoでのQT間隔に対する影響について検討した。さらに、ProbucolとMoxifloxacin(MFLX)の併用試験を実施し、hERG Trafficking阻害下におけるQT延長作用について検討した。【方法】イヌ(Beagle、雄4頭)を用いて(1)Probucol(100 mg/kg)の単回投与、(2)MFLX(20 mg/kg)の単回投与、(3)Probucol単回投与+MFLX単回投与、(4)Probucol 7日間反復投与+MFLX単回投与の4試験を実施し、QT間隔に対する影響をテレメトリー法にて検討した。心電図は心表面より誘導し、取得したデータをProbabilistic Methodにより解析、個体別補正法によりQTcを算出することでQT間隔に対する作用を高精度に評価した。【結果及び考察】Probucolは、単回投与において溶媒投与と比較して軽度のQTc間隔の延長を示した。7日間反復投与では、投与期間に依存したQTc間隔の延長がみられ、7日目では10%前後のQTc間隔の延長が認められた。MFLXとの併用においては、それぞれの単独投与におけるQT延長作用を相加した効果が認められた。本結果より、hERG Trafficking阻害作用を有する薬剤はin vivoにおいてQT延長作用を示すこと、また、hERGチャネル直接阻害作用を示す薬剤との併用は相加的なQT延長効果をもたらす可能性が示唆された。
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© 2012 日本毒性学会
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