日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-33
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精母細胞特異的遺伝子群の発現変動による精母細胞障害評価系の検討
*松山 拓矢高田 早苗片岡 広子矢部 光一新野 訓代伊藤 和美谷 吉朗三分一所 厚司高崎 渉
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抄録
我々は、1, 3-dinitrobenzeneを投与したラット精巣において、精母細胞障害の増悪に伴う精母細胞特異的遺伝子群の発現低下を報告した(Matsuyama et al., Toxicology 290: 169-177, 2011)。そこで本研究では、マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析による精巣毒性評価系の構築を目的として、化合物誘発ラット精母細胞障害検出に対する精母細胞特異的遺伝子の有用性について検討した。精母細胞障害を惹起することが知られるEthylene glycol monoethyl ether(EGME)を200、600および2000 mg/kgの投与量で9週齢の雄性F344ラット に経口単回投与し、投与後24時間に精巣を採材して病理組織学的検査およびマイクロアレイ解析(Affymetrix社、GeneChip® Rat Genome 230 2.0 Array)を実施した。その結果、病理組織検査において、600 mg/kg以上の投与群で精母細胞の単細胞壊死がみられた。マイクロアレイ解析では、精母細胞特異的遺伝子群の多くの遺伝子発現レベルが用量相関的に低下していた。続いて、精母細胞特異的遺伝子のラット精巣での発現細胞を組織学的に確認するため、無処置の9週齢の雄性F344ラット精巣に対して代表的な3つの遺伝子(Cklf、Prok2およびLef1)についてIn situ hybridization法を用いて調べたところ、いずれの遺伝子も精母細胞特異的に発現していた。以上より、精母細胞特異的遺伝子の発現低下は化合物誘発ラット精母細胞障害を検出する毒性評価指標として有用と考えられた。
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© 2012 日本毒性学会
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