日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-34
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ラット培養卵胞におけるMEHPの生殖内分泌異常に関する遺伝子発現解析
*山下 晃人稲田 拓千原 和弘国松 武史木村 重紀船橋 斉
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抄録
【目的】フタル酸エステルの1つであるDEHPはラットにおいてEstradiolの分泌低下や性周期異常などの生殖内分泌異常を引き起こすことが知られている。我々は、これまでにDEHPの活性代謝物であるMEHPがラット培養卵胞において生殖内分泌異常を誘発することを報告している。今回、MEHP添加ラット培養卵胞を用いて当該異常に関連すると考えられるCholesterol合成及びステロイドホルモン変換に関連する酵素について遺伝子発現解析を行い、MEHPが誘発する生殖内分泌異常の発現メカニズムについて検討した。
【方法】生後14日のSD系雌性ラットから採取した卵胞を培養し、MEHP(0、10、30及び100 µg/mL)添加後48時間まで培養を継続した。培養後の卵胞については、HMG-CoA redeuctase(HMGCR)、Steroidogenic acute regulatory protein(StAR)、P450 cholesterol side-chain cleavage enzyme(P450scc)、3β hydroxysteroid dehydrogenase(3β-HSD)、17α hydroxylase及び17,20-lyse(P450c17)、並びに17β hydroxysteroid dehydrogenase(17β-HSD)のmRNA量をqRT-PCRを用いて測定した。
【結果及び考察】MEHP添加ラット培養卵胞において、HMGCR、StAR及びP450sccの発現上昇が認められたことから、MEHPは、HMGCR活性化によるCholesterol合成亢進作用並びにStAR及びP450scc活性化によるCholesterol~Pregnenoloneの合成経路亢進作用を誘発することが示唆された。また、P450c17については、10及び30 µg/mLにおいてその発現が上昇したが、100 µg/mLにおいて低下したことから、MEHPは、添加用量によってProgesterone~Androstenedioneの合成経路を亢進あるいは阻害することが示唆された。以上の如く、MEHPはラット培養卵胞において、Cholesterol合成及びCholesterol~Androstenedioneの合成経路に影響を及ぼすことにより生殖内分泌異常を誘発するものと考えられた。
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© 2012 日本毒性学会
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