日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-59
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短期間暴露による環境化学物質免疫毒性評価法の検討
*福山 朋季小坂 忠司林 宏一宮下 理沙田島 由香里上田 英夫原田 孝則
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抄録
環境中化学物質の暴露がヒトの免疫機能に及ぼす影響について,長年調査が続けられており,近年ではその危険性を検出すべく,免疫毒性試験が他の安全性試験と同様に一般化されつつある。しかし現在の免疫毒性試験では,4週間連続被験物質投与を実施することから,免疫寛容等の免疫機構に異常が起こりやすく,被験物質の免疫毒性作用を正確に検出できない可能性がある。そこで本研究では,マウスに被験物質を短期間暴露する新しい免疫毒性試験スケジュールについて検討を行った。実験には7週齢の雌性C3H/Heマウスを用い,事前の調査で免疫抑制能を有する事が証明されている有機塩素系化合物メトキシクロル(0, 3, 30, 300 mg/kg),有機リン系化合物パラチオン(0, 0.015, 0.15, 1.5 mg/kg)および殺虫剤共力剤ピペロニルブトキシド(0, 3, 30, 300 mg/kg)を5日間経口投与した。さらに,抗原(SRBC)特異的IgM産生能を調査する目的で,被検物質投与2日目(解剖の4日前)に羊赤血球細胞(SRBC,6×107個/0.2mL)を尾静脈内に投与し,免疫を行った。被験物質最終投与翌日に麻酔下で採血を行い,安楽殺後,脾臓を摘出した。血液からは血清を分離し,SRBC特異的IgM抗体価測定を行い,脾臓は細胞単離後,IgM抗体産生能をPlaque forming cell assay(PFC法)にて,B細胞のサブセット(IgM陽性およびGerminal center陽性)をフローサイトメーターにて解析した。解析の結果,各被験物質のIgM抗体産生能が用量依存性に減少し,各被験物質投与による免疫毒性反応が示唆された。また,脾臓中のIgMおよびGerminal center陽性B細胞数も被験物質の用量に依存して減少し,IgM抗体産生能測定の結果を補佐していた。これらの結果から,マウスにおける短期間暴露スケジュールにおいて,免疫毒性の検出が正確に出来ることが示唆された。
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© 2012 日本毒性学会
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