日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-60
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腸内細菌の産生するp-クレゾールの免疫毒性評価
*柴 隆大佐々木 孝牧野 育代川上 幸治加藤 幾雄内田 和美小林 稔秀金子 公幸
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抄録

【目的】p-クレゾールはチロシンが腸内細菌によって代謝されることで生成する腸内腐敗産物の一種であり、免疫毒性を有することが示唆されている。本発表では、腸管で産生されるp-クレゾールが細胞性免疫応答に及ぼす影響に着目して検討した結果を報告する。【方法】BALB/cマウスの食餌中にチロシンを負荷することで、血中のp-クレゾール濃度が高値となるp-クレゾール高産生モデルを構築した。このモデルにアレルギー性接触性皮膚炎を誘導することで、細胞性免疫応答に対するp-クレゾールの影響を評価した。さらに、ex vivoおよびin vitroにおいて、マウス脾臓細胞のサイトカイン産生に対するp-クレゾールの影響を評価した。【結果】p-クレゾール高産生モデルマウスでは、接触性皮膚炎反応が有意に低下した。この接触性皮膚炎反応は血中p-クレゾール濃度との間に負の相関が認められた。Ex vivoでは、菌体刺激に対する脾臓細胞のIL-12産生能と、血中p-クレゾール濃度との間に負の相関が認められた。また、in vitroでは、p-クレゾールは菌体刺激により産生されるIL-12とIFN-γを抑制した。さらに、p-クレゾールは抗CD3抗体刺激によるIFN-γの産生を抑制し、IL-4の産生を促進した。【考察】経口摂取したチロシンによって腸内で産生されるp-クレゾールは、細胞性免疫応答を抑制した。また、p-クレゾールは細胞性免疫に対して促進的な作用をもつIL-12とIFN-γの産生を抑制し、抑制的な作用をもつIL-4の産生を促進した。これらの結果から、p-クレゾールはサイトカイン産生を変化させることで、細胞性免疫応答に対して抑制的に作用することが示唆された。

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© 2012 日本毒性学会
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