日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-8
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トリアゾール系抗真菌剤による肝肥大におけるCARの関与に投与用量が与える影響
*田村 圭井上 薫高橋 美和松尾 沙織里入江 かをる小澤 正吾小川 久美子西川 秋佳吉田 緑
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抄録

【緒言】Constitutive Androstane Receptor (CAR)は、マウスの肝臓においてCytochrome P450(CYP)2B誘導、肝肥大/肝腫瘍発生に関与している核内受容体である。多くのトリアゾール系抗真菌剤(TRI)は、マウスに肝肥大や非遺伝毒性メカニズムによる肝腫瘍を誘発する。我々は、3種のTRIの肝肥大とCARの関与に投与用量による違いがあるか検討し、代表的CAR活性化剤のPhenobarbital(PB)と比較した。【方法】7週齢の雄性C3H由来Car -/-(CARKO)マウス及びCar +/+(Wild)であるC3Hマウス(C3H/HeNCrlCrlj)に3用量(低・中・高)のCyproconazole(Cyp)、Tebuconazole(Teb)、Fluconazole(Flu)またはPBを各々1週間混餌投与し、肝肥大(肝重量、肝細胞肥大)、肝臓のCYP発現量(2b103a11 mRNA、CYP2B蛋白)及び肝細胞増殖活性(PCNA陽性率)を検索した。【結果】Wildマウス:全投与群で肝肥大、CYP発現量及び肝細胞増殖活性が用量依存的に増加した。CARKOマウス:PB群ではWildマウスで認められた変化がほぼ認められなかった。Cyp、Flu群では高用量のみ肝肥大が認められた。Teb群では用量依存性に明らかに肝肥大を示したが、低用量でWildマウスより軽減した。全TRI群でCYP2B発現増加量がWildマウスより軽減したものの、高用量では対照群よりも高く、Cyp3a11発現量がWildマウスと同程度に増加した。PBと同様に全TRI群における肝細胞増殖活性化は高用量でも認められなかった。【考察】3種のTRIの肝肥大には用量による差はあるものの、いずれもCAR及びCAR以外(PXRなど)の両方が関与しており、PBとは異なる結果となった。Cyp、Fluによる肝肥大はCARが主であり、高用量群のみCAR以外の関与が認められた。Tebによる肝肥大はCAR以外が主であったが、低用量群ではCARの関与が示唆された。今回の結果より、TRIの肝肥大におけるCARの関与には投与用量による差があることが明らかとなった。

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© 2012 日本毒性学会
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