日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: S16-5
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ファーマコビジランス -JAPhMed後援・SEF/PV-WG
ファーマコビジランスにおけるゲノム薬理学及びバイオマーカー関連情報の活用
*鳥谷部 貴祥
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抄録
通常、医薬品の承認前に実施される臨床試験では、症例数、患者背景、投与期間等の限界があるため、医薬品によるリスクの全容を把握することは困難である。さらに、近年、国際共同治験が増加する中では、日本人の治験症例数が限られていたり、世界同時開発のため、日本での承認時にはまだ海外市販後データがないなど、評価対象となるデータの内容が変化している。そのため、継続的な医薬品安全性監視(ファーマコビジランス)の重要性が高まっており、PMDAは開発時から製造販売後まで継続して医薬品のリスクに関するデータの収集、分析、評価及びそれに対する安全対策の立案を実施している。また、「医薬品安全性監視計画」及び「リスク最小化計画」から構成された「医薬品リスク管理計画(RMP)ガイダンス(案)」が昨年4月に公表され、パブリックコメントを経て本年4月に当ガイダンスが通知される予定である。
 医薬品のベネフィット・リスクに関連する情報の一つとして、近年、ゲノム薬理学が注目されており、薬物応答の個人差とDNA及びRNA等の特性の変異との関連が検討され、有効性の向上、重篤な副作用の回避等に有用な知見が得られるようになってきた。それらの知見に基づく情報については、科学的な妥当性を評価した上で、添付文書への追記が行われており、添付文書にゲノム薬理学関連情報の記載がある医薬品の数は増加傾向にある。PMDAでは、ゲノム薬理学及びバイオマーカーに関連するデータの収集、分析、評価を行い、添付文書への掲載等の方策を講じるとともに、医薬品開発におけるゲノム薬理学の利用を推進するために、2009年4月よりファーマコゲノミクス・バイオマーカー相談を実施している。今回のシンポジウムでは、ゲノム薬理学及びバイオマーカー関連の事案について検討を行うPMDA Omics Project Team (POP)を紹介するとともに、ゲノム薬理学関連情報を添付文書に追記した具体的事例を紹介する。
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© 2012 日本毒性学会
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