日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: S2-4
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毒性オミクス
薬物副作用の回避にむけて:国際トランスポーター・コンソーシアム報告、新規QSAR解析と迅速SNP検出法の開発
*石川 智久
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抄録

近年、薬物トランスポーターの遺伝子多型または薬物相互作用によって薬物副作用が引き起こされるという臨床知見が蓄積しつつある。その問題を検討・解決すべく2012年3月12日~13日の2日間、米国にてInternational Transporter Consortium Workshop 2(ITCW2)を開催したので、その報告を行う。我々は2010年にMembrane Transporters in Drug Developmentと題してFDA白書をNature Review Drug Discoveryに発表した(1)。しかしながらトランスポーターの薬物相互作用の評価を創薬のどの段階に組み込むべきか?という問題が製薬企業にはある。白書に記述された全てのトランスポーターを全て評価するのは不可能に近い。そこで我々は創薬の初期段階に組み込めるように、化合物の構造に基づいて薬物相互作用するかどうかをin silico判断するQSAR解析方法を開発した。その応用として、胆汁排泄トランスポーターBSEP/ABCB11を阻害して肝内胆汁鬱滞を引き起こす薬・化合物の重要な構造的因子を同定する事に成功した(2)。また、薬物トランスポーターまたは薬物代謝酵素の遺伝子多型によって、薬物体内動態が大きく影響をうけて、一部の患者おいては重篤な副作用が起きる場合がある。その問題を解決すべく、我々は遺伝子多型を迅速に検出する方法を開発した。その基本原理と臨床応用例を紹介する(3)。
(1) Giacomini KM, et al. Nature Review Drug Discovery, 9, 215-236, 2010.
(2) Saito H, et al. AAPS J. 11(3), 581-589, 2009.
(3) Aw W, et al. Clin. Pharmacol. Ther. 89, 617-620. 2011.

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© 2012 日本毒性学会
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