日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: S5-1
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子どもの毒性学
子どもの毒性学 Overview
*菅野 純
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抄録
2008年6月の第35回日本トキシコロジー学会(現日本毒性学会)年会に於いて、遠藤仁先生、関根孝司先生のご尽力により、子どもの毒性学をテーマとして、5つのシンポジウムと2つの特別講演等を実施し、多くの小児科臨床の先生を含む関係研究者のご参画を頂いた。当時の案内の概要は『暴露された時点では殆ど無症状だが時間が経つと症状が現れる遅発性毒性が先進国の子どもには重要であろう。最近のシグナル毒性研究は現状の暴露レベルでの遅発性毒性の可能性を示唆しているからである。その一つの標的はその完成にシグナルを利用している脳で、シグナルが外界から乱されると微細構築や機能に影響が出ることが想定される。この場合、神経細胞を直接殺す強力な神経毒や、高濃度暴露の必要がない。他の標的も含め、成長後に遅発性毒性として顕在化する事を考慮した子どもの毒性学の構築が急がれる、、、』。関根孝司先生と共に2009年の年会では前年のフォローアップと注意欠如多動性障害に関連した「子どもの毒性学シンポジウム」を、2011年は、関連テーマとして黒岩幸雄先生、吉田武美先生のご尽力で「遅発性の情動認知毒性-コリンエステラーゼ阻害物質による遅発性の中枢神経毒性」シンポジウムを実施した。
 本年会は再び関根孝司先生に「発達障害、多動性障害、Asper障害などの「精神(神経)発達の異常」の切り口からのシンポジウムを企画頂いた。この様な発達障害は、ようやく問題意識が多くの小児科医で共有される様になった段階で、病態や原因について多くが未解明であり、この分野の毒性学的報告が少ないとのことであるが、現段階で臨床的に重要な問題の提起をして頂くことは、毒性学者にとって大きな刺激になるものと期待される。この機会に臨床的ニーズと基礎研究的シーズの噛み合わせと、真のレギュラトリーサイエンスとしての子どもの毒性学の基盤がより強固なものとなることが期待される。
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© 2012 日本毒性学会
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