日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-9
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一般演題 ポスター
In vitro眼刺激性評価法 Short Time Exposure (STE)試験の有用性検証
*額田 祐子安保 孝幸許 睿坂口 斉
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キーワード: STE, 眼刺激性, 細胞毒性
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抄録
STE (Short Time Exposure)試験はウサギ角膜由来細胞株SIRC細胞に被験物質を5分間曝露した際の細胞生存率をエンドポイントにしたin vitro眼刺激性試験であり,バリデーション研究において,化学物質でのGHS区分に対する高い予測性が確認された。本研究では,OECDテストガイドライン化に向けた取り組みとし,データセットの整備及び適用範囲の最適化を行うと共に,より広くSTE試験を実施可能にするため受託試験機関への技術移譲を行った。 まず始めに,化学物質の物理化学的特性や化学物質分類におけるGHSの眼刺激性区分に対するSTE試験の予測性を検証することで,STE試験の適用範囲を最適化した。その結果,物理化学的性質においては,飽和蒸気圧の高い高揮発性物質が偽陰性の発生頻度が高いこと,化学物質分類においては,界面活性剤では偽陰性が生じなかったのに対し,アルコール,塩類,炭化水素において偽陰性の発生頻度が高いことが明らかとなった。上記のカテゴリーの物質を除いた場合,GHS区分に対し高い予測性(92.2%)が得られ,偽陰性化合物は除かない場合の9物質から1物質 (Toluene)に減少した。 次に,日米欧3箇所の受託試験機関に対し技術指導を行い,STE試験の技術移譲を行った。水溶性物質3物質,油溶性物質2物質,計5物質を用いて技術移譲性を確認したところ,すべての施設において背景データと一致した眼刺激性区分が得られた。さらに,化粧品製品を用いて施設間再現性を確認したところ,眼刺激性区分の一致率は80-100%となった。 以上の結果から,STE試験は適用範囲を明確化することにより良好な予測性を有していると共に,技術易移譲性,施設間再現性も良好であることが明らかとなった。
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© 2013 日本毒性学会
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