日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-11
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一般演題 ポスター
患者背景を考慮した簡易懸濁法による内服抗がん剤の安全性評価に関する基礎的検討
*比知屋 寛之大竹 祐貴子東 薫伴 英里香筧 幸子西楽 丈嗣中原 瑠美安 智美清原 義史井上 徹雄座間味 義人田中 一穂天野 学倉田 なおみ駒田 富佐夫
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抄録
【目的】がん患者への薬物治療において,患者背景を考慮した投与方法を選択することは極めて重要である。近年,患者の生活の質の向上を図るべく,薬の安定性や安全性などを考慮した効果的な投与方法の一つとして,簡易懸濁法(以下,懸濁法と略す)が着目されている。しかしながら,懸濁法による抗がん剤の適否に関する詳細なデータは,全139品目中31品目と極めて少ない(2013年2月現在)。そこで本研究では,がん患者がより安全で最適な薬物治療を受けられるように,懸濁法にて適否不明な抗がん剤について詳細に検討した。
【方法】現在,日本国内で発売されている内服抗がん剤のなかで,懸濁法の適否不明な医薬品108品目中55品目について,懸濁法投与の適否判別法である「崩壊懸濁試験法」と「通過性試験法」により検討した。両試験は,実施者1名と観察者2名の計3名で行い,2名以上の判断を基に対象医薬品を評価した。また,試験の実施者と実施日(または時間帯)を変えることで主観的な判断を除外し,各医薬品につき計3回検討した。該当医薬品の最終的な判別結果は,計3回の検討のうち,2回以上で同評価が得られたものを採用した。なお,本研究における判別評価の適は,「内服薬 経管投与ハンドブック-簡易懸濁法可能医薬品一覧-第2版(じほう,2011年)」の「適1」のみとした。
【結果】評価した55品目のうち,48品目の医薬品が適であることが判明した。また,不適7品目のうち,6品目が後発医薬品であった。とりわけ,ビカルタミド錠の評価は,後発医薬品間で大きく異なることが明らかとなった。
【考察】本研究により,これまで懸濁法の適否が不明であった55品目の抗がん剤について,定性的に評価することができた。これは,全品目の半数に相当する。この成果は,懸濁法によるがん患者への内服抗がん剤での治療に有益な情報をもたらすと考えられる。
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© 2013 日本毒性学会
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