日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-77
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一般演題 ポスター
ゼブラフィッシュ発生毒性試験法における催奇形性の予測性への展望
*瀧 憲二COBURN AleashaSTEDMAN Donald
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抄録
胚・胎児発生毒性試験を実施するためのガイドラインではほ乳動物の使用が余儀なくされている。試験実施には大量の動物,多量の被験物質が必要なため,多くの化合物をスクリーニングするには適さない。製薬業界では創薬の段階における高い開発失敗率のために,予測性が高く且つハイスループットな評価系が必要とされている。ゼブラフィッシュ(zebrafish, 以下ZF)は,ほ乳動物の代替として有用で,以下の特徴を持ち,3Rの推進に貢献できる。即ち,維持管理費が安い,発生期間が短い,ヒトの遺伝子と相同性が高い(70~80%),少量の被験物質(~μg)で評価可能などである。本研究では,既知の催奇形物質として陽性/陰性物質それぞれ20化合物について受精後6時間から被験物質(1μM~1000μM)を継続曝露させ,受精後5日にすべての稚魚について催奇形性を評価した。ZF稚魚の50%致死濃度(LC50)と50%のZF稚魚が催奇形性を起こす濃度(EC50)の比(LC50/EC50)およびZF稚魚の無毒性量(NOAEL)とZF稚魚の25%致死濃度(LC25)の比(NOAEL/LC25)よりTeratogenic index (Ti)を算出した。予測正当率は,LC50/EC50では,陽性および陰性でそれぞれ75%および65%であり,NOAEL/LC25ではそれぞれ80%および60%であった。偽陰性と予測されたハイリスク化合物について,測定最終時点におけるZFへの薬物取り込みを確認した。その結果,いくつかのハイリスク化合物がZF稚魚内に取り込まれていないことがわかった。これはZFの卵が生体異物に対する選択的透過性を持つという報告と一致していた。今後はルーチンの測定や卵内投与などの技術改善により,ZF稚魚の薬物取り込みの特徴と体内動態の理解が進むことで,この評価モデルを利用しやすいものとして確立していけると考える。
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© 2013 日本毒性学会
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