日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-85
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一般演題 ポスター
rasH2マウスを用いた超短期発がん性予測法の検討
*辻 暁司桑原 佑典高木 広憲杉浦 正幸中西 豊若松 正樹釣谷 克樹佐藤 靖
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キーワード: rasH2, がん原性,
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抄録
【目的】遺伝子改変動物を用いた短期(26週間)がん原性試験で汎用されるrasH2マウスを用いて,化合物のがん原性試験を超短期(4週間)で予測する系について検討する。【方法】Tg及びnon-Tg rasH2マウス(雄,7週齢)に,変異原性発がん物質としてUrethane(300 mg/kg,p.o.,4週間),或いは非変異原性発がん物質としてN-Methylolacrylamide(NMA)(1000 ppm,飲水,26週間)を投与した。対照として無処置群を設定した。一般状態観察及び体重測定に加え,4及び26週で剖検を行い,病理組織学的検査を実施した。また,4週時に血漿における発がんバイオマーカー測定,肺における網羅的遺伝子発現解析を実施した。【結果および考察】Urethane投与群では,Tg及びnon-Tgマウス何れにおいても上皮過形成,腺種及び腺癌を認めたが,Tgマウスでは腫瘍発生が早期化した。NMA投与群では,Tgマウスで上皮過形成,腺種及び腺癌が認められたが,non-Tgマウスでは上皮過形成が認められたのみであった。バイオマーカー測定では,Urethane投与群のTgマウスにおいてCEAの増加が認められた。遺伝子発現解析では,Urethane投与群において,Tg,non-Tgマウスともにcell cycle関連遺伝子の変動が多く,Tgマウスでのみ大きく変動する遺伝子としてepiregulinがみられた。NMA投与群ではTg,non-Tgマウスともに免疫関連遺伝子の変動が多く,Tgマウスでのみ大きく変動する遺伝子はほとんど認められなかった。本検討から,rasH2マウスに短期間化合物を投与して遺伝子発現解析を実施することで発がん性を予備的に検討することが可能であり,特に変異原性発がん物質に関して高感度である事が示唆された。
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© 2013 日本毒性学会
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