日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-118
会議情報

一般演題 ポスター
有害性評価支援システム統合プラットフォーム(HESS)II. 収載データの解析:NOELの分布・発現毒性・カテゴリー化に必要な機序的情報について
*山田 隆志長谷川 隆一櫻谷 祐企山田 隼吉成 浩一山添 康広瀬 明彦林 真
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
反復投与毒性試験は,化学物質の有害性評価において重要な役割を果たしており,わが国の化学物質審査規制法(化審法)やEUのREACHなどで化学物質の有害性の判定に用いられている。しかし時間とコストがかかることから試験された物質は限られており,近年の国内外における化学物質管理制度の改正に伴って,既に市場に流通している数多くの未試験物質について安全性評価が求められる。このため動物試験を戦略的に実施する必要があるほか,データギャップ補完のための1つの手法としてカテゴリーアプローチが考えられている。これらを組み合わせて安全性評価を効率的に進めるためには,既存の反復投与毒性のデータを整理し,NOEL,発現毒性,カテゴリーの全体像を把握する必要がある。
有害性評価支援システム統合プラットフォーム (HESS)は化審法反復投与毒性試験を中心にGLP基準で実施された反復投与毒性試験(545試験,515物質)の各検査項目のNOEL/LOEL情報が収載され,カテゴリーアプローチによる未試験物質の評価を支援する機能を備えている。それに付属するデータベース(HESS DB)は詳細な試験データ並びに被検物質のADME及び毒性作用機序に関連する文献情報を収めている。本研究において我々はHESS/HESS DBの収載データを網羅的に解析した。強制経口投与試験についてNOELを25 mg/kg/日未満,25-250 mg/kg/日,250 mg/kg/日以上に分類したところ,それぞれ47,34,19%であった。NOELの推定根拠となる影響を標的臓器別に分類したところ,肝臓,血液,腎臓の順に多かった。また発現毒性別では溶血性貧血が最も多かった。これらを化学構造の特徴と共に整理した。更に公開済みのカテゴリーについて,未試験の類似物質がカテゴリーへ入るかを判断するために必要な機序に関連した情報を整理した。
著者関連情報
© 2013 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top