日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-163
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一般演題 ポスター
ジメルミ酸のミトコンドリア酸化ストレスに対する影響
今泉 直樹*渡慶次 愛呉屋 純乃上原 安紀子崎浜 秀悟安仁屋 洋子中尾 浩史
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抄録
【目的】我々は先に紅麹菌より抗酸化物質ジメルミ酸(DMA)を分離し,このDMAが四塩化炭素の肝障害を軽減することを報告した。ミトコンドリアは生体での活性酸素発生場所であり,アセトアミノフェン(AAP)過剰摂取は肝ミトコンドリア障害により酸化ストレス性肝障害を引き起こすことが明らかにされつつある。そこで,本研究ではDMAの肝ミトコンドリアへの保護作用について検討し,ミトコンドリア性酸化ストレス肝障害の解明に寄与することを目的とした。
【方法】雄性SDラット肝より常法にて調製したミトコンドリア(mit)を用い,酸化剤(peroxynitriteやCuCl2)による酸化ストレスに対するDMAの影響を評価した。また,マウスin vivo 実験として,雄性ICRマウスをControl,AAP,DMA+AAP,DMA群の4群に分け,AAPは300 mg/kgを,DMAは15 mg/kgをAAP投与の1,15 時間前にそれぞれ腹腔内投与した。マウスは一晩絶食し,AAP投与1.5時間後に断頭,肝ミトコンドリア機能,血清パラメーター,活性酸素種を測定した。
【結果および考察】DMAは酸化剤により誘導されるラット肝ミトコンドリア膜透過性遷移現象(膨化反応)やカルシウムの流出を抑えた。また,DMAはミトコンドリアからのヒドロキシルラジカルを消去し,酸化ストレスによるミトコンドリア機能障害を軽減することが示唆された。さらに,マウスin vivo 実験では,DMA + AAP群はAAP群に比べ,肝障害マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)を軽減させ,カルシウムの負荷によるミトコンドリアの膨化反応を有意に抑制した。また,AAP群ではミトコンドリアで活性酸素の発生が見られるがDMA+AAP群ではほとんどみられなかった。以上のことから,DMAはミトコンドリアを介する酸化ストレス性肝障害に対する保護効果があることが示唆された。
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© 2013 日本毒性学会
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