日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: W1-2
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ワークショップ 1 腎毒性評価の新規手法:その基礎から臨床応用へ
ラット急性及び慢性腎障害モデルにおける新規腎毒性バイオマーカーの解析
*杉浦 孝宏
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抄録
腎毒性バイオマーカーとしては,従来からBUN,SCr等が用いられており,急性腎不全 (AKI) にはSCrと尿量,慢性腎臓病 (CKD) にはGFR,尿アルブミン,尿蛋白による分類がなされている.しかし,SCrがGFRの変化よりも遅れて変化する事,栄養状態の悪化や全身の筋肉量低下によりクレアチニン産生量が減少する事,臨床上ほとんど問題視されていなかったわずかなSCr上昇が患者予後に大きく寄与する事,等の問題が指摘されている.これらの問題を解決するためには,特異性及び感度の優れた新規腎毒性バイオマーカーが必要である.
このことは動物実験においても同様であり,臨床で検証される新規腎毒性バイオマーカーを動物実験においても毒性ならびに薬効の視点から検討することが急務である.そこで我々は,腎臓疾患の代表例としてAKIとCKDの各モデルを用いて新規腎毒性バイオマーカーの有用性を検討したので報告する.
AKIモデルは臨床上腎毒性が問題となっている造影剤投与によるラットモデルで,Indomethacin,L-NAMEの前処置後にOypalomin (造影剤) を静脈内に投与することで造影剤による腎毒性を惹起させ,24時間後あるいは72時間後まで,血液生化学的検査及び尿検査を評価した.
 CKDモデルは心血管疾患の原因となる血管石灰化を伴ったアデニン誘発によるラットモデルであり,アデニン含有飼料を3週間摂取させることで腎毒性を惹起させ,その後5週間後まで,経時的に血液生化学的検査及び尿検査を検討した.
各モデル共にBUNとSCr及び新規腎毒性バイオマーカー (KIM-1,Clusterin,Osteopontin,β-2 Microglobulin,Cystatin C) を測定し,腎障害モデルの病態進行過程における経時的なバイオマーカーの推移を比較検討した.
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© 2013 日本毒性学会
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