日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: W1-1
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ワークショップ 1 腎毒性評価の新規手法:その基礎から臨床応用へ
臨床現場での腎毒性評価の現状
*喜多村 真治
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キーワード: 腎毒性評価, 腎障害, 臨床
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抄録
腎臓とは,生体内の老廃物や余剰な水分の濾過による尿を生成し,電解質バランスを整える体液恒常性の維持のために働く臓器である。そのため,腎臓は排泄機能を有しており,現代において存在する様々な化学物質に対しても排泄を行い,種々の腎臓障害を引き起こすことがある。 
我々腎臓内科医は,そのような腎臓に関する障害に対し,腎機能評価を行い,治療している。腎尿路系の障害に対し,存在するあらゆる検査項目を行うことは不可能であり,診断と治療に必要と思われる検査項目を系統的に無駄なく選択し,正確な診断を行い,的確な治療を行うことが求められている。 
腎泌尿器系の検査の基本は尿検査である。腎障害を判断するには病歴,病状,身体所見などから必要な検査を追加していく。主なものは腎機能検査,血液生化学検査・免疫系の検査,超音波検査やCT検査,腎生検検査による病理学的検査,泌尿器科学的な検査などであり,それらから総合的に評価され,最終診断へと繋がる。 
薬剤などによる腎障害は,用量依存性薬剤性腎障害,過敏型薬剤性腎障害に分けられる。用量依存性薬剤性腎障害では薬物が標的とする箇所は糸球体,尿細管であり,特に近位尿細管が多い。これは多くの物質が糸球体で濾過された後に近位尿細管で再吸収さるためである。一方,過敏型薬剤性腎障害では,アレルギー機序を介して発症するため,各種アレルギー症状を伴って急性腎不全の形で発症する。 
本セッションでは,腎機能評価のための具体的な評価項目や尿所見の見方,また既存の腎機能評価法であるクレアチニンや尿素窒素,また新たな腎機能バイオマーカーなども紹介し,臨床現場からみた腎機能評価の考え方を示し,また薬剤などの化学物質による腎障害について,どのように考えているかなどを話したい。
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© 2013 日本毒性学会
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