日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: W2-4
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ワークショップ 2 毒性学からバイオオルガノメタリクスへのアプローチ
金属輸送システムとハイブリット分子
*藤代 瞳姫野 誠一郎
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キーワード: 輸送, カドミウム, ZIP8
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抄録
カドミウム (Cd) は亜鉛,鉄,マンガンなどの必須金属の輸送体を介して細胞内に取り込まれることが明らかになってきた。しかし,細胞に取り込まれる際にCd2+イオンとして輸送されるのか,何らかの低分子化合物と結合して輸送されるのか,共存する因子の影響を受けるのかなど,詳細な機構は明らかになっていない。これらの機構の解明にはCd取り込みの特異的阻害剤あるいは促進剤の開発が有効であると考え,Cdの取り込みを阻害あるいは促進する化合物のスクリーニングを行った。Bi, Sb, Co, Zn, Mn, Cr, Fe, Ni, Cu, Moを中心金属に含む140種類の有機金属・錯体化合物とそのリガンドから,Cdの取り込みを阻害する化合物をスクリーニングした結果,Zn-01, Sb06-01, Bi06-26, Bi08-06, CuHN11がマウス線維芽細胞において濃度依存的にCdの取り込みを阻害することを見出した。Sb06-01とBi06-26 の中心金属以外の構造は同じであるため,これらの化合物の立体構造がこのCd取り込み阻害に重要である可能性が示唆された。Cdの輸送体の1つであるZIP8が高発現しているRBL-2H3細胞を用いてその阻害機構を検討した。また,阻害効果を示したCuHN11の基本骨格であるエチレンジアミン骨格をもつSodium N, N-diethyldithio carbamate trihydrate (DDTC)のCd取り込みに対する効果を検討したところ,DDTCは逆にCdの取り込みを増加させることを見出した。しかし,DDTCはMnおよびZnの取り込みは増加させなかった。今後,これらの化合物のCd取り込みに対する阻害および促進効果の機構を解析することにより,細胞内へのCd取り込みの機構の解明に繋がることが期待される。
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© 2013 日本毒性学会
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