本研究は、Web調査を利用し、国民健康保険料の滞納、および、仮想的質問による医療保険が任意加入であった場合の保険料納付意思に関する分析をおこなったものである。
分析の結果、以下のことが明らかになった。第1に、流動性制約仮説について、所得の影響は観察されなかった一方、低貯蓄の場合、滞納確率が高くなることが示された。また、非正規雇用者や失業者は経済的見通しが立ちにくいために、納付意思があるにもかかわらず保険料を滞納しやすくなる。第2に、逆選択仮説について、支払い意思と組み合わせた納付行動では、主観的健康度の影響がみられた。第3に、高額療養費に対する知識がある場合、任意加入での納付意思はないが滞納はしていない確率を低下させることから、強制加入により知識不足による滞納が防がれているといえよう。