抄録
弊社は,「自然と調和するこころ豊かな毎日をめざして」を社是として,健康で豊かな暮らしに欠かせない生活用品を開発・生産し,消費者の皆様にご提供しています。その範囲は,身体洗浄料や歯みがきなどのパーソナルケア製品,基礎化粧品,衣料用洗剤や柔軟仕上げ剤,おむつや生理用品,特定保健用食品などの食品,工業用化学品などの幅広い製品分野に及んでおり,様々な特徴を有する低分子から高分子の有機化合物等を用いています。
製品の安全性保証のためには,その用途や使い方,内容物やその性質等に応じて,皮膚に対する直接的なばく露,経口摂取による全身ばく露,吸入ばく露によるヒトの健康影響の視点からのアセスメントを行う必要があります。さらに,衣料用洗剤のように使用後に環境に排出される製品も少なくないため,下水処理施設における処理性や環境影響の視点からのアセスメントも行います。これらのアセスメントを行うために,皮膚毒性,全身毒性,遺伝毒性,体内動態,環境毒性などの有害性を評価しますが,その際には,基本的に既存の安全性情報と動物試験代替技術(in vitroとin silico)を用います。現在,皮膚感作性,眼刺激性の代替技術の世界標準化への取組みと反復投与毒性の代替技術の開発検討に注力しています。環境影響リスク評価については,in silicoによる水環境のばく露解析技術の新規開発や生分解性の評価技術の導入に取組み,評価技術の革新に努めています。
また,全てのお客様に安全に使用していただける製品にするために,内容物に対する科学的な安全性リスク評価を行うだけでなく,安全性科学研究所が容器の形状やサイズ,使用上の注意の記述内容にも意見を述べています。
本発表では,弊社における家庭用品の安全性評価と研究に関する取組みを紹介する予定です。