日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: JH-8
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就職活動支援プログラム 安全性研究紹介
安全性研究における国立医薬品食品衛生研究所の役割
*高須 伸二
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抄録
医薬品をはじめ食品添加物や残留農薬、動物用医薬品などヒトが曝露される可能性のある化学物質について、その安全性を科学的に評価することは大変重要である。化学物質の安全性評価はさまざまな毒性試験を行うことにより、化学物質がどのような有害事象(毒性)を引き起こすかを明らかにすることに重点が置かれている。一方、当研究所における安全性研究は化学物質が引き起こす毒性がどのような機序で引き起こされ、その毒性変化がどのような生物学的意義を持つかを明らかにすることに重点を置き、その研究成果を安全性研究にフィードバックすることで安全性をより正確に科学的に評価できるようにする、いわゆるレギュラトリーサイエンスの推進を目的としている。当所病理部では、化学物質を投与した際に見られる毒性について病理形態学的な解析を中心に研究を進めている。病理形態学的な解析は、化学物質の投与により発生した変化を臓器、組織および細胞レベルで精査することで毒性標的や作用を評価できることが特徴であり、動物個体において認められる毒性を正確に捉えるうえで大変有用である。さらに我々は、免疫組織化学的解析やマイクロアレイ、質量分析などによる解析、あるいは遺伝子改変動物を用いた解析を行うことで毒性病変の発生機序や生物学的意義を追及している。このような研究成果は実験動物を用いて得られた安全性研究の知見をヒトに外挿する際に大変意義があると考える。また、習慣的に使用されているがその安全性が十分に検討されていない食品添加物(既存添加物)や食品加工中に生成される非意図的副生成物、微生物由来の自然毒など安全性研究の必要性が高い化学物質についても研究しており、これら研究を通じてヒトの健康と生活環境を維持・向上させることを目指している。本演題では、いくつかの研究結果を例示しながら、当研究部で行われている研究について紹介したい。
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© 2014 日本毒性学会
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