日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-4
会議情報

一般演題 口演
クロルプロマジンのラット胎盤形成への影響
*古川 賢林 清吾阿部 正義萩尾 宗一郎入江 浩大黒田 雄介小川 いづみ山岸 由和杉山 晶彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】クロルプロマジンのラット胎盤発生に対する影響を経時的に検索した。【材料及び方法】試験にはWistar Hannover妊娠ラット56匹を供試した。クロルプロマジンは生理食塩水に溶解・希釈し、0、50及び100 mg/kgの用量にて妊娠14日に腹腔内投与した。妊娠14.5、15、17及び21日に剖検し、胎盤及び胚子/胎児を摘出し、重量測定後、胎盤の組織病理学検査を実施した。【結果】母動物は両投与群で自発運動減、低体温、尿失禁など一般状態は不良で、体重減少が認められた。全胚/胎児が吸収されていた母動物の発現率は、妊娠21日において50mg/kg群で20%、100mg/kg群で44.4%であった。胎児死亡率(上記全吸収胚母動物を除く)は100mg/kg投与群で31.4%であった。胎児重量は両投与群で妊娠15及び17日において低下した。胎盤重量は50mg/kg群で妊娠17日、100mg/kg群で試験期間を通して低下した。組織病理学的には、迷路層ではアポトーシスの増加が両投与群で妊娠14.5及び15日で認められ、その程度は用量相関性を示した。これにより、その厚さは50mg/kg群で妊娠15及び17日、100mg/kg群で試験期間を通して菲薄化した。さらに、代償性と考えられる細胞増殖活性亢進が、50mg/kg群で妊娠15日、100mg/kg群で妊娠15及び17日において認められた。基底層ではグリコーゲン細胞のアポトーシスが、100mg/kg群で妊娠14.5及び15日において増加した。これにより、その厚さは妊娠15日において菲薄化し、妊娠21日においてグリコーゲン細胞の嚢胞変性による肥厚が認められた。間膜腺では100mg/kg群で基底層からのグリコーゲン細胞の浸潤が抑制され、これにより、その厚さは妊娠15及び17日において菲薄化した。【結論】クロルプロマジンのラットにおける妊娠14日単回投与よって、迷路層では栄養膜細胞のアポトーシスによる迷路層の低形成、基底層ではグリコーゲン細胞のアポトーシスによるグリコーゲン細胞島の形成遅延、さらにそれに起因したグリコーゲン細胞の嚢胞変性が誘発されるものと推察した。間膜腺ではグリコーゲン細胞の一過性の減少によるグリコーゲン細胞の間膜腺への浸潤が抑制され、間膜腺の低形成が誘発されるものと推察した。
著者関連情報
© 2014 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top