抄録
【目的】
欧米ではミニブタは実験動物として広く普及しており、前臨床試験においてもイヌおよびサルと並ぶ第三の非げっ歯類として使用されている。一方、本邦でのミニブタの使用率は少数であるが、欧米の研究に刺激され、その有用性が見直されてきている。Göttingen系ミニブタは医薬品の前臨床試験で最も使用されている品種であり、国内ではデンマーク産ミニブタしか入手できなかったが、昨年度から国内の生産が始まった。今回、国内産とデンマーク産のGöttingen系ミニブタを用いて、安全性試験における各種検査データを比較検討したため、詳細を報告する。
【方法】
国内産およびデンマーク産ミニブタ(入荷時3~4ヵ月齢、雌雄)を用いて、体重測定、各月齢で血液及び血液生化学的検査(無麻酔下)、尿検査を、また定期的に眼検査、心電図測定(保定式およびホルター)、血圧測定および体温測定を実施した。試験終了時に剖検を行い、臓器重量測定および病理学的検査を実施した。
【結果・考察】
体重の増加はいずれの産地でも月に1kg前後であった。血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査、眼科学的検査、心電図測定、血圧測定および体温測定において、国内産とデンマーク産に明らかな差は認められなかった。また、デンマーク産ミニブタに特徴的な心拍数変動(ヒトの入室でも変動しないが、給餌による興奮は4時間ほど戻らない)は国内産ミニブタでも同様の傾向を示した。さらに、本会にて現在実施中である病理学的検査結果の詳細について報告する。