日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-132
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一般演題 ポスター
TK動物数削減のための小動物Plasma Micro-Sampling技術の確立と検証
*斧研 雅子檀原 康浩武井 信貴子松澤 陽子三好 征司畠山 洋文仁井 一夫佐藤 伸一
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抄録

 動物の愛護及び管理に関する法律や動物実験の適正な実施に向けたガイドラインなど、様々な基準や指針において実験動物の3Rs(Reduction、Replacement、Refinement)が謳われている。使用動物数の削減(Reduction)へ寄与することが期待されるBlood Micro-Samplingについて、サンプリング法の実際と毒性試験における動物数削減の可能性について報告する。
 非臨床試験における血中薬物濃度分析に用いる採血では、その採血量が動物の正常な生理に影響を及ぼす可能性があるため、従来特に小動物では毒性評価用の動物とは別に採血のためだけに動物を供試している。そこで、我々は住化分析センターと共同で血中薬物濃度分析の高感度化とBlood Micro-Sampling により採血量の削減を図った。これにより、同一動物からの経時的な採血及び回復期間の短縮が望め、動物数の減少及び同一個体での動態の確認が可能となる。さらに、採血用動物を設置せずに毒性評価用動物から採血を行えば、発現した毒性所見と血中濃度を紐付けすることが可能となる。
 Dried Blood Spot法はhematocrit値や血球移行の影響を受けるため、Plasma Micro-Sampling(PMS)に適した採血法として尾静脈,背側中足静脈,頸静脈からの微量採血法を比較検討した。1回あたりの採血量は従来のTK用採血量(全血量)がラットで600μL、マウスで400μLであったのに対し、PMSでは40μL(血漿として15μL)を目安として定めた。確立した採血法を用いerythromycinをラットおよびマウスに投与し検証試験を実施した。毒性評価項目への影響の指標として体重、血液学的検査、血液生化学的検査、病理組織学的検査を行い、同一個体における繰り返しの微量採血の影響を検討した。以上の検討結果を報告するとともに、動物数の削減を実現化するための小動物非臨床試験の試験デザインを提案したい。なお、血中薬物濃度の高感度測定法と検証試験におけるerythromycinの測定結果については別報にて報告する。

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© 2014 日本毒性学会
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