日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-137
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一般演題 ポスター
コモンマーモセットによるFOBの検討(第2報)
*藤原 淳有賀 和枝飯野 雅彦井上 貴史西銘 千代子井上 亮佐藤 伸一
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抄録
コモンマーモセット(マーモセット)は,非臨床試験において,ラットと同様,カニクイザルやアカゲザルと比べて被験物質必要量が少量で済み,また,ハンドリングが容易である利点がある.また,バイオ医薬品の開発では,ラットよりヒトとの交差反応性が高いことが期待される.演者らは,第5回日本安全性薬理研究会(2014)において,マーモセットに中枢神経系興奮薬のコカイン及び中枢神経系抑制薬のクロルプロマジンを静脈内投与して機能観察総合評価法(FOB)を実施した結果,両薬物の中枢神経効果は,カニクイザルとほぼ同様に検出された.このことから,マーモセットはバイオ医薬品だけではなく,中枢神経系作用薬の開発にも貢献できる可能性があることを報告した.今回は他の種類の中枢神経系抑制薬,モルヒネ及びペントバルビタールを用いてFOBを実施し,その結果をアカゲザルの一般状態観察結果と比較検討した.雄性マーモセット(282~352 g)4匹に,生理食塩液,モルヒネ1 mg/kg及びペントバルビタール3 mg/kgを静脈内投与し,投与後5及び30分,1,2,4及び6時間にFOB観察を実施した.その結果,モルヒネでは閉眼,運動失調,軽度の鎮静及び観察者への反応低下,ペントバルビタールでは閉眼,運動失調及び観察者への反応低下などが,それぞれ投与後5分から1または2時間まで認められた.これらの所見はアカゲザルと類似していた.モルヒネ1 mg/kg及びペントバルビタール3 mg/kgはアカゲザルにおける一般状態観察の効果発現最小用量にほぼ一致しており,したがって,両薬物の中枢神経作用に対するマーモセットの感受性は,アカゲザルと比較的近い可能性が示唆された.今後,用量反応及びさらに他の種類の中枢神経系薬物の観察を追加し,また,マーモセットに特徴的な観察項目をさらに探索し,マーモセットFOBの検出力向上に取り組む.
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© 2014 日本毒性学会
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