日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-141
会議情報

一般演題 ポスター
新規食餌性肥満動物モデルとしての有用性に関する検討Ⅱ
*野崎 裕美横谷 亮佐々木 啓伊藤 浩太奥村 佳奈子中山 拓生石川 典子古川 正敏平田 真理子堀本 政夫松浦 正男
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】我々は特殊精製飼料(飼料A)を用いて,脂肪肝の形成や内臓脂肪の増加等を示す食餌性肥満動物モデルを作出し,昨年の本学術年会において,コレステロール吸収阻害剤に対する本モデルの有用性について報告した.今回,脂質代謝や糖代謝の改善,体脂肪低減等の作用が報告されている難消化性デキストリンを用いて本モデルの有用性について検討したので報告する.
【方法】5週齢のSD系雄ラット各群8匹を用いて,飼料Aを28日間自由に摂取させた群(モデル群)および飼料Aの摂取と同時に5%難消化性デキストリンを飲水投与した群(投与群)を設け,対照群には標準飼料を摂取させた.体重および摂餌量を定期的に測定し,投与28日の翌日に剖検し,血液生化学的検査,器官および脂肪重量測定および病理組織学的検査を実施した.また,肝臓の脂肪蓄積について,肝細胞の空胞化の程度をスコア化して評価した.
【結果・考察】モデル群は対照群に比べて血中総コレステロール(T-Cho)およびLDLコレステロールが高値となり,中性脂肪(TG)も高値傾向を示した.また,モデル群の肝臓は黄白色化し,肝臓重量,内臓脂肪および皮下脂肪重量が増加した.投与群ではモデル群に比べて,血中TGの低値およびT-Choの低値傾向,さらに皮下脂肪および内臓脂肪重量の増加抑制傾向が認められた.投与群の肝臓重量では,モデル群と比べて差はみられなかったものの,肝細胞の空胞化は低下傾向を示した.以上より,飼料Aを摂取させた食餌性肥満動物モデルを用いて,難消化性デキストリンによる脂質代謝改善作用および体脂肪低減作用を確認する結果が得られたことから,これらの作用に対する評価において本モデルは有用であることが示唆された.

著者関連情報
© 2014 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top