日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-23
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優秀研究発表 ポスター
In vitro生殖発生毒性評価法Embryonic Stem Cell Test(EST)の簡略化に関する検討
*鈴木 千春三井田 由紀子朝日 結実子高砂 浄松岡 俊樹下村 和裕土屋 由美
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抄録
【背景・目的】Embryonic Stem Cell Test(EST)は被験物質の生殖発生毒性を評価する目的で構築されたスクリーニング法であり、生殖発生毒性リスクの少ない化合物を選別するために活用されている。ESTでは、3T3細胞の増殖阻害実験、ES細胞の増殖阻害実験、及びES細胞の分化阻害実験の異なる3つの実験を実施(3実験法)し、各実験からIC50-3T3、IC50-ES、ID50-ESを算出し、これら3つのパラメータを決められた計算式で解析することにより被験物質の生殖発生毒性を評価する。3実験法のESTでは、3実験それぞれの実施に10日間を要するうえ、試薬量や被験物質量も3実験分が必要になることから、今回ES細胞の増殖と分化に関する実験を単一の実験とし、3T3細胞増殖阻害実験との2実験(2実験法)で評価可能か否かを検討した。
【実験方法】被験物質としてECVAMのESTプロトコールに上記3つのパラメータの参考値が記載されている16化合物を用いた。3実験法と同様に3T3細胞の増殖阻害実験を行いIC50-3T3を算出した。次いでES細胞の分化阻害実験によりID50-ESを算出後、同じ96穴プレートを用いてWST assayを実施し、IC50-ESを算出した。この2実験法で得られたIC50-ESを、当施設及びECVAMが3実験法で算出したIC50-ESと比較し、生殖発生毒性の判定に用いるパラメータとしての妥当性を検証した。
【結果・考察】使用した16化合物全てにおいて、2実験法で得られたIC50-ESがECVAM及び当施設の3実験法によるIC50-ESと近似した値となった。さらに、2実験法から得られたパラメータを用いて催奇形性を判定したところ、当施設で実施した3実験法による判定と同一であった。
 以上の結果から、2実験法による発生毒性評価は3実験法によるものと同等と判断した。2実験法では、3実験法に比べコストパーフォーマンス及び実施期間が大きく改善されることから、生殖発生毒性の初期スクリーニング系としてより優れた試験系であると考えられた。
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© 2014 日本毒性学会
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