日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-59
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優秀研究発表 ポスター
In vitro 光毒性試験および経皮的 cassette-dosing pharmacokinetic study による benzophenone 誘導体の光安全性評価
*大竹 啓斗加藤 尚視尾上 誠良
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抄録
【目的】経皮剤は皮膚に直接適用されるため薬剤性光線過敏症の発現リスクが高く,それゆえ,創薬初期での光毒性リスク回避が求められる.そのためには各種 in vitro 光毒性試験に加え,薬物の皮膚透過性・滞留性を評価する薬物動態学的評価が必要であるが,それには多くの時間と動物資源を要する.そこで,経皮的 cassette-dosing pharmacokinetic study と各種 in vitro 試験による統合的解析は,経皮適用化合物の高効率的光安全性評価系構築に有用であると作業仮説を立て,benzophenone 誘導体をモデル化合物とした検討を行った.
【方法】benzophenone (BZ), ketoprofen (KT), oxybenzone (OX), sulisobenzone (SB), dioxybenzone (DO), mexenone (MX) に UV/VIS 吸収測定, reactive oxygen species (ROS) assay, 3T3 neutral red uptake phototoxicity test (3T3 NRU-PT) を適用した.6 化合物を propylene glycol に溶解し,ラット腹部に経皮共投与 (各 0.1 mg/rat) 後の投与部位 (皮膚) における薬物濃度推移を調べた.加えて,ラット光毒性試験を実施した.
【結果・考察】全被験物質は高い UV 吸収特性を持ち,BZ, KT, OX, MX において露光時に強い ROS 産生を認めた.3T3 NRU-PT において,BZ, KT の PIF 値はそれぞれ 49.5, 68.9 と非常に高く,この 2 化合物のみが強い in vitro 光毒性を示した.各化合物のラット経皮共投与後における Cmax および Tmax は各化合物間で大きな差があり,化合物毎に異なる経皮吸収性を認めた.KT, MX の皮膚中濃度は他の 4 化合物と比べて高く,KT は投与後 24 h においても皮膚中で高濃度に検出され,すなわち KT, MX の皮膚透過性の高さおよび KT の皮膚滞留性の高さを示唆した.以上から,光毒性リスクは BZ, KT, MX で高く,OX ではやや疑わしく,SB, DO では低いと予測した.これらの予測はラット光毒性試験の結果と比較的良好な対応を示した.今後,予測精度や適用範囲に関してより詳細な検討が必要であると考えるが,本評価系は経皮適用化合物に対する信頼性の高い光安全性評価系として発展が期待できる.
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© 2014 日本毒性学会
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