日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-69
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一般演題 ポスター
最近14年間にわが国で承認された医薬品393剤の副作用 ―血圧上昇及び血圧低下―
*永山 隆西田 稔檜杖 昌則荻野 大和藤吉 正人橋場 雅道米田 保雄王鞍 孝子田牧 千裕小平 浩久田 茂中村 和市
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抄録
わが国で1999年9月~2013年3月に承認された医薬品393剤の副作用(AEs)について調査した。本発表では血圧上昇と血圧低下について報告する。AEs及び非臨床毒性(Tox)はそれぞれ添付文書及び承認申請資料の情報からそれぞれ集計・解析した。393剤中181剤(46.1%)に血圧上昇、131剤(33.3%)に血圧低下のAEsがみられた。95剤(24.2%)では両AEsがみられ、217剤(55.2%)ではいずれか一方のAEがみられた。AEsとToxの関連性を検討した結果、血圧上昇及び血圧低下のaccuracyはそれぞれ0.54及び0.58であった。低分子医薬品と高分子医薬品に分けて、AEsの発現頻度別にToxの関連性を検討した結果、低分子では血圧低下に発現頻度依存傾向がみられたが、血圧上昇では発現頻度の影響はみられず、高分子ではいずれも発現頻度の影響は明確ではなかった。薬効群別の解析の結果、多くの中枢神経系薬剤で血圧に対する影響がみられ、解熱消炎鎮痛剤及び合成麻薬の全薬剤、精神神経用剤の93.3%及び抗パーキンソン剤の83.3%で血圧上昇がみられた。抗パーキンソン剤及び合成麻薬の全薬剤、精神神経用剤の86.7%及び末梢神経系用薬の80.0%で血圧低下がみられた。作用機序を調査し、on-target、off-target等に分類した。血圧上昇及び血圧低下のいずれでも約半数の薬剤の作用機序は確定できず、血圧上昇及び血圧低下いずれもon-targetのみでなく、off-targetの機序も多数認められた。今回の調査結果から、多くの薬剤で血圧への影響がみられることが明らかとなった。新薬の開発においては、非臨床試験、臨床試験の各段階でAEs発現のリスクを更に効果的に検出する試みの充実が要求され、臨床現場においては、AEs発現を低減させる試みの実現や対策が求められる。
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© 2014 日本毒性学会
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