日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: S15-2
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シンポジウム 15 核酸医薬品の安全性評価
核酸医薬品の非臨床安全性評価の課題
*高垣 和史渡部 一人中村 和市
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抄録
 日本製薬工業協会 基礎研究部会では、核酸医薬を重要な革新的医薬品のひとつと位置付け、数年間にわたり国際情勢調査や多様な課題の解決へ向けた活動に取り組んでいる。核酸医薬品には、アンチセンス核酸、アプタマー、デゴイオリゴ及びsiRNAなどがあり、抗体医薬に続く次世代の分子標的薬として期待されている。この中で、アプタマーは標的分子に直接結合して作用を及ぼすことから抗体と類似点がある。しかし、アンチセンス核酸、デコイオリゴ及びsiRNAは核酸を標的とし、相補的な複合体を形成することによって作用を及ぼすことから、低分子医薬品やバイオ医薬品とは薬理作用発現の機序が異なる。また、核酸医薬品は、配列を持つ高分子である点でバイオ医薬品と類似点があるが、化学的構造は異なる。従って、核酸医薬品の安全性評価には、低分子医薬品やバイオ医薬品とは異なる考慮が必要であると考えている。
 我々は、核酸医薬品開発に関連した非臨床安全性評価の諸問題に取り組む欧米企業や規制当局の専門家グループ(Oligo Safety Working Group)と連携のもと、核酸医薬品の安全性評価に関する事例研究を行ってきた。今回は、核酸医薬品に特徴的な「Off-target作用」を始め、「過剰な薬理作用」、「補体活性化」及び「吸入型核酸」などの事例研究の一端を紹介する。さらに、2013年に米国で抗高コレステロール血症薬として上市された、世界初の全身投与によるアンチセンス核酸Mipomersen(Kynamro)について、非臨床試験と臨床試験の相関について検討した結果を踏まえて、核酸医薬品の安全性評価の課題について我々の考え方を示したい。
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© 2014 日本毒性学会
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