日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: S18-5
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シンポジウム 18 膵炎・膵臓がんの非臨床及び臨床評価
膵疾患におけるインクレチン関連薬の意義と膵癌・膵炎リスクへの影響
*伊藤 鉄英中村 太一五十嵐 久人高柳 涼一
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抄録
2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬、DPPIV阻害薬の使用は急速に増加しており、長期投与の患者が増えている。これらのインクレチン関連薬は低血糖のリスクも少なく、また体重増加抑制作用もあり、比較的安全な薬剤と考えられている。一方、急性膵炎や膵癌の発症が危惧されるような報告もあり、インクレチン関連薬とこれらの疾患との関係に医療者の注目が集まっている。インクレチン関連薬による膵炎、膵癌発症との関連性は現時点では低いことが明らかになりつつあるが、現状では長期投与に関するデータは不明である。膵疾患に伴う糖尿病(膵性糖尿病)では、膵外分泌酵素薬の補充ならびにインクレチン関連薬の使用は、低血糖の予防、血糖コントロールの改善において重要である。しかし、今後も急性膵炎の発症、慢性膵炎の増悪、膵癌、甲状腺癌の発症などに留意しながら使用することが必要である。ただし、インクレチン関連薬には他の糖尿病薬に比べ低血糖のリスクが少ないという利点もあることから、やみくもに使用を制限することは患者にとって不利益となる。膵性糖尿病に対しては、症例の選択に注意を払いながら治療を行っていくべきである。
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© 2014 日本毒性学会
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